愛すべき愛たち

左アングルからの世界

自担を見ると涙が止まらない


2ヶ月前、Jr.担になった。

ジャニヲタはもう8年くらいやってるけどついにJr.に手を出した。はまったら抜け出せなくなりそうだから足を突っ込んではいけないと、あまり見ないふりをしてきた。でも先日たまたま入ったジャニーズJr.だけのコンサートで、あるグループの子に思いっきり狙い撃ちでファンサされていとも簡単に担降りした。



8年間ずっとデビュー組を応援してきた私にとって、Jr.が身を置く世界はもはや別のジャンルに足を踏み入れたような感覚だった。

いつだれが退所するか、いつグループが解散・結成されるか、いつだれがデビューするのか、そんなもの全部分からない。それでも、おたくはキラキラと輝くアイドルのような何かを必死こいて応援する。月一回のNHKホールで、デビュー組のバックで、全力で踊る彼らをひたすら応援する。

Jr.たちがアイドルとは思えないと言っているわけではもちろんない。むしろみんなダンスも歌もキャラ作りも本当に頑張っていてその姿はまさにアイドル然としている。お顔だって整っている子が沢山いる。でもそういうことじゃない。ただただ、先が本当に見えない。尋常じゃないほどの閉塞感が支配する空間に彼らは身を置いている。

本当かどうかはわからないが、当分ジャニーズからデビューはしないらしい。むしろCDデビューという形態すらなくなるかもしれないそうだ。売上不振が関係しているとか。

いよいよ唯一の光であったCDデビューの道もほぼ途絶えてしまった。ひたすら暗闇の中を前後不覚になりながらももがくしかない。もがいた先に何かがつかめる確証はほとんどない。



彼らが努力する先に、おたくが応援する先に、一体何があるんだろう。分からないまま、ひたすらもがき続けるしかない。Jr.も、おたくも。彼らがどれだけ歌が上手かろうがダンスが美しかろうがそんなもの関係なく、時間だけがただただ過ぎてゆく。おたくがどれだけシアタークリエに入ろうがQRコードを手に入れようが事態は何も変わらない。

こうしてあっという間に1年が経つんだろう。そうした何も変わらない年中行事の狭間でひっそりと自担が辞めていくのかもしれない。



自担は本当に人の目を惹きつけるダンスをする。リズム感もめちゃくちゃ良い。そして、本当に楽しそうな顔で踊る。俺すごいでしょ、だからみんな見てよ。自信満々にリズムを全身で取って自己をダンスに乗せて表現する彼は本当に魅力的だ。

そんな彼の幸せそうな顔を見るたびに、彼がこのまま幸せでいられますようにと思う。そして同時に、彼がこれから先もずっと笑顔でアイドルを続けてくれるためにはどうすればいいのだろうと考えてしまう。

まだ自担は18歳だ。きっとまだJr.を続けてくれるだろう。だからまだ大丈夫。そんなことを考えてしまう自分の心の甘えが憎い。だって、ずっとJr.でいられるわけがない。これまでもどれだけ多くのJr.が夢半ばで退所していったのだろう。自信を失い失意の中去ったのだろう。その時、まだ10代・20代の彼らは、キラキラと輝く世界を通して残酷にも才能や努力が結果へと結びつかないことを知ってしまうのだろう。



いつ彼が夢から醒めるかなんて彼にすら分からない。誰にも分からない。ある日突然ホームページから名前が消え、ドル誌に姿が載らなくなり、収録に顔を出さなくなる。それは突然やってくる。

こわい。

本当にこわい。

あんなに才能があって努力家で顔もかっこいいのに、そんな彼の魅力がほとんどこの世に広まることなく、散っていってしまうなんて、花開くことなくただ枯れていくなんて、あまりに勿体無い。あんなにすごいエンターテイナーがいるのに、芸能界は、ジャニーズ事務所は彼をみすみす逃そうとしている。それに耐えられない。彼の才能にどうしてみんな気付かないのか。



そう思ってハッとする。

もしあの日友達に横浜アリーナに連れて行ってもらえていなかったら。

もしあの日彼にファンサを貰えていなかったら。

偶然が重ならなければ、今私は彼の存在すら知らずに生きていただろう。私だって彼を偶然見つけた1人でしかないのだ。それなのに、見つかれだなんて、世間に知らしめようだなんて、どの口が言えるのか。



自担がデビュー組のコンサートのバックとしてついた映像を見ていると涙が止まらなくなる。どれだけバックでも全力で魅せることにこだわる彼を、カメラはデビュー組越しでしか捉えない。画面の中心に彼が来ることは一度もない。いつか彼が画面の中央に大きく映されて、いつも通りの幸せそうな表情を見せてくれる未来が来ればいい。そう思いながら私は今日もデビュー組の後ろに小さく映る彼を繰り返し繰り返し見続ける。